「子は親の鏡。」
子育てをしていると、一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。
正直なところ、私は以前まで、この言葉の意味をよく理解していませんでした。
子どもは親の言うことを聞くのではなく、親のすることを見て育つ。
そんな話は聞いたことがありましたが、「本当にそうなのかな」と、どこか他人事のように思っていたのです。
3人の生活が始まった頃、私は「親なんだからしっかりしなければ」と肩に力が入っていました。
失敗しないように。
子どもを不安にさせないように。
父親として、ちゃんとしなければ。
そんな思いが強くなればなるほど、私は子どもたちの失敗にも必要以上に敏感になっていました。
しかし、ある日の長女の一言が、そんな私の考えを大きく変えることになります。
私はその時、初めて「子は親の鏡」と言われる理由を、自分自身の経験として理解したのです。
私がここまで肩に力を入れてしまった背景には、「一人で全部背負わなければならない」と思い込んでいた時期がありました。その頃の気持ちは、こちらの記事でも詳しく綴っています。
>>>シングルファーザーになって一番つらかったのは、相談相手がいなかったことでした
「親なんだから」と肩に力が入っていたあの頃

3人の生活が始まった頃の私は、とにかく肩に力が入っていました。
「自分がしっかりしなければ。」
その思いだけで毎日を過ごしていたように思います。
子どもたちの食事や学校のこと、仕事との両立、家事や将来のこと。父親としてやるべきことは山ほどありました。
もちろん、それらをこなすことは親として当然の責任です。
でも今振り返ると、私は「責任」と「完璧でなければならない」という思いを、いつの間にか同じものとして考えていたように思います。
子どもが怪我をしたらどうしよう。
学校生活で困っていないだろうか。
勉強についていけているだろうか。
友達とうまくやれているだろうか。
そして何より、「片親だから」と周囲に思われないようにしなければ。
そんなことを考えていました。
すべてを自分一人で完璧にやろうとしていた頃の私は、家事も育児も手を抜くことはいけないことだと思っていました。しかし、その考え方は少しずつ変わっていきます。
>>>シングルファーザーになって、「時間をお金で買う」意味が分かった
でもそういった思いが、実際に顔や行動にも出ていたのだと思います。
だから、子どもたちにも変な緊張感のようなものが芽生えたのだと思います。
元気がないように見えると心配になり、何か失敗をすると「大丈夫だろうか」と必要以上に気を揉んでしまう。
親として子どもを守りたい。
その気持ちに嘘はありません。
ただ、その頃の私は、「子どもを信じる」というよりも、「子どもを心配する」ことの方が多かったように思います。
今思えば、子どもたちのためと言いながら、本当に安心したかったのは私自身だったのかもしれません。
「失敗しても立ち上がることが大切」という考え方は、以前から子どもたちと交わしてきた約束にもつながっています。
>>>シングルファーザーになって子どもたちと交わした、たった一つの約束
私は「失敗しないこと」が大切だと体現してしまっていた

私は以前から、子どもたちによくこんな話をしていました。
「失敗することは悪いことじゃない。」
「大切なのは、失敗したあとにどう立ち上がるかだよ。」
失敗を恐れて何もしないより、挑戦して失敗した方がいい。
そして、失敗したらその原因を考え、同じ失敗を繰り返さないようにすればいい。
そんな考えを、子どもたちにも伝えてきたつもりでした。
今でも、その考え方は間違っていないと思っています。
でも、ある時ふと気付いたのです。
私が子どもたちに伝えていたことが一番できていなかったのは、私ではないかと。
私が何か失敗をすると、必要以上に落ち込み、「父親として何か足りなかったのではないか」と自分を責めていました。
表向きは「大丈夫。また次がある。」と言いながら、心の中では失敗を引きずり、なかなか前を向けずにいたのです。
そんな落ち込んだ父親を見て、「失敗しても大丈夫!」なんて思わないですよね?
子どもたちは、私の言葉だけを聞いていたわけではありません。
私の表情や態度、そして失敗した時の姿を、ずっと見ていたのだと思います。
言葉では「失敗しても大丈夫」と伝えながら、自分自身は失敗を受け入れられていない。
今振り返ると、自分で言っていることと、自分の行動が一致していなかったように思います。
そのことに気付かせてくれたのは、思いもよらない長女の一言でした。
長女のこの変化を見て、私自身も「親として何を大切にすればいいのか」を改めて考えるようになりました。そのきっかけとなった出来事はこちらの記事でも書いています。
>>>シングルファーザーが見た希望|娘の一言が教えてくれた未来
長女の一言が、私に気づかせてくれました
数週間前、長女が実力試験を受けました。
結果は、本人が思っていたような点数ではなかったようです。
正直、私は気が気ではありませんでした。
以前の長女なら、思うような結果が出なかった時、自分を責めて落ち込むことが多かったからです。
「また今回も、自分を責めてしまうんじゃないか。」
そんなことばかり考えていました。
ところが、長女の口から出てきた言葉は、私の予想とはまったく違いました。
「またやっちゃった……。(笑)」
その一言を聞いた瞬間、私は違和感のような驚きを感じました。
そして長女は、落ち込むどころか、
「ここで焦っちゃったんだよね。」
「この問題、ちゃんと読めてなかった。」
と、自分で試験を振り返り始めたのです。
誰かのせいにするわけでもなく、自分を責め続けるわけでもありません。
失敗した事実を受け止めながら、「次はどうすればいいか」を考えていました。
その姿を見て、私は嬉しかったというより、どこか安心した気持ちになりました。
そして同時に、胸に引っ掛かるものもありました。
「あれ……。」
「今まで一番失敗を恐れていたのは、もしかすると私だったんじゃないか。」
そんな思いが、頭の中をよぎったのです。
子育ては、親が一人で抱え込むものではありません。私自身がそう気づくまでには、たくさんの遠回りがありました。同じように悩んでいる方へ向けて、こちらの記事も書いています。
>>>シングルファーザーになって伝えたいこと|一人で抱え込まないという選択
「子は親の鏡」と言われる理由

長女の姿を見て、私はようやく気付きました。
落ち込んでいたのは、長女ではありません。
私だったのです。
私はこれまで、「失敗しても大丈夫。大切なのは、その後どう行動するかだよ。」と子どもたちに話してきました。
でも、実際に失敗を必要以上に恐れ、立ち止まっていたのは私自身でした。
子どもたちは親の言葉を聞いているようで、実はそれ以上に親の姿を見ているんだなぁ、と気付かされました。
嬉しい時にどう笑うのか。
苦しい時にどう乗り越えるのか。
そして、失敗した時にどう前を向くのか。
そんな日々の姿を、子どもたちは何気なく見ているのだと思います。
だから長女も、私が失敗して落ち込む姿を見て、
「失敗すると、お父さんが悲しむ。」
「失敗しないことが一番大切なんだ。」
そんなふうに受け取っていたのかもしれません。
もちろん、本当のことは長女にしか分かりません。
でも今回、笑顔で「またやっちゃった。」と言いながら、自分の失敗を冷静に振り返る姿を見て、私は一つ確信したことがあります。
子どもに伝わるのは、親の言葉だけではないということです。
親が毎日どんな姿を見せているのか。
その積み重ねこそが、子どもの心に残っていくのだと思います。
だから私は、「子は親の鏡」という言葉は、親を責める言葉ではないと思っています。
親も失敗する。
親も落ち込む。
でも、そのたびに少しずつ前を向く。
その姿を見せることこそが、子どもに伝わる一番のメッセージなのかもしれません。
子育ては、親が一人で抱え込むものではありません。私自身がそう気づくまでには、たくさんの遠回りがありました。同じように悩んでいる方へ向けて、こちらの記事も書いています。
>>>シングルファーザーになって伝えたいこと|一人で抱え込まないという選択
親だって、失敗していい
私はこの記事を書きながら、一つ思ったことがあります。
親だからといって、完璧である必要はないということです。
しっかりしなければ。
弱いところを見せてはいけない。
子どもの前では泣いてはいけない。
そんなふうに思っていた時期もありました。
でも今は、少し考え方が変わりました。
親だって失敗します。
反省することもあります。
落ち込む日もあります。
時には泣きたくなることだってあります。
それでいいんだと思います。
大切なのは、失敗しないことではありません。
最後には立ち上がって、「また頑張ろう。」と前を向く姿を見せること。
子どもは、そんな親の姿をちゃんと見てくれているのだと思います。
だから、必要以上に肩に力を入れなくてもいい。
完璧な親を目指さなくてもいい。
子どもは、親が思っている以上にたくましく、自分の力で歩いていけるものです。
もちろん、これは私たち親子が経験した一つの出来事であって、すべての家庭に当てはまるとは思っていません。
それでも、もし今、子育てに迷っている人や、自分を責め続けている人がいるなら、一つだけ伝えたいことがあります。
子どもを愛おしく思う気持ちだけは、どうか忘れないでください。
その気持ちがあれば、親も子どもも、一歩ずつ前へ進んでいけます。
私は、3人で過ごしてきた日々の中で、そう感じるようになりました。

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